COLUMN

パーソナルキャラクターの特徴について

パーソナリティ

はじめに

前回のコラムに引き続き、パーソナルキャラクターについて雑誌「人間科学」の解説記事から、次の3つについて説明します。

  • パーソナリティは一生を通じて変化するか?
  • パーソナリティを決める要因は何か?
  • パーソナリティは私たちの人生や職業にどのような影響を与えるのか?

パーソナリティは一生を通じて変化するか?

パーソナリティ特性は一生の間あまり変化が無いと言われています。

三つ子の魂百までと言われるゆえんですが、特に職業的に必要なキャラクター特性(例えば営業職なら社交性や積極性、ソーシャルワーカーなら温かさや他者への配慮、科学者なら好奇心や意欲など)はほとんど変化しないようです。
但し、全く変化しないわけではなく緩やかに発達する状態と考えるべきだと言われています。30 歳くらいまでは徐々に変化しますが、それを超えると変化は大幅に少なくなり安定します。
多くの人は年齢を重ねると物事に動じなくなり、より心地良さを感じるようになりますが、内向的になり物事をテキパキと進めるようになります。50歳くらいまでは開放的キャラクターが拡大していきますが以後は徐々に減少します。
もちろん逆の経過をたどる人もいますので上記の傾向は平均的なものだと理解してください。

面白いことに、パーソナルキャラクターの変化は主観的な年齢(つまり生物学的な年齢ではなく、自分が思っている年齢)によって影響をうけます。
実際の年齢よりも若いと思っている人は物事に動じず、外向的な傾向にあります。
人のライフステージにおける様々なネガティブあるいはポジティブな出来事もパーソナルキャラクターに影響を当与えます。
誰かを好きになるとか就職したとかの出来事があると、親切で協調的になり、神経質な気持ちが減少します。
一方、結婚、離婚、親になるなどではそれほどパーソナルキャラクターの変化に影響を与えません。
多分これらの出来事はパーソナルキャラクターが安定している年齢で起こることが多いからだと思われます。

訓練などで自分のキャラクターを変えることもある程度可能ですが、極端には変わりません。
極めて内向的な人が極めて外向的なパーソナルキャラクターの人に変化することはまずありません。

パーソナリティを決める要因は何か?

パーソナリティが何によって決まるのかは良く話題になりますね。
生まれつき、教育、人生経験などの何が支配的要因かについて述べたいと思います。
一般的にパーソナリティは生まれつきの遺伝的影響と、教育や人生経験などの環境的な影響の組み合わせで決まります。
遺伝的影響と環境的影響のどちらがどのくらい性格形成に影響を与えているかは、一卵性双生児と2卵性双生児を比較することで研究されており、多くの研究の結果、40%が遺伝的な影響、60%が環境的な影響であると言われています。
この影響度は前回のコラムで述べた5つの人格特性毎に異なっています。
生まれつきの遺伝的な影響は、雑誌「人間科学」によれば

外向性                                 56% 

誠実性                                 52%

感情の安定性                         46%

開放性                                 45%

協調性                                 35%

とのことです。

これらの研究は1990年代以降、多数行われてきましたが、遺伝子とパーソナルキャラクターとの関係についてはほとんどわかっていません。ある特定の遺伝子が、ある特定のパーソナルキャラクターに関係していることはなく、多くの遺伝子がかかわっているようです。
現時点では生物学的な遺伝子配列とパーソナルキャラクターを結び付けることは出来ません。

パーソナルキャラクターの形成に環境的な影響があるのかについては、双子や養子を観察して研究されています。
2人の姉妹が一方は独創的な考えを持つ環境で暮らし、もう一方が伝統的な価値観を持つ環境で暮らした場合、彼女らの性格は同じ環境に住んでいる場合とは大きく異なります。
また共通の経験を共有すればするほどお互いは似てきます。

年代もパーソナルキャラクターに影響を与えます。
フランスでは、2010年代の若者は1960年代の若者に比べて、外向的で不安感が少なくなっています。この2つの時代の間に人々の感情の安定度が増し、社会的な役割が変化したためです。
協調性や誠実さも年代によって異なり、2010年代の方が1980年代よりも高く、社交性、自信、穏やかさも、特に就職後の若者で増大しています。労働流動性の高まり、女性の躍進、託児所の整備などによるものと思われます。

パーソナリティは私たちの人生や職業にどのような影響を与えるのか?

ウエルビーイング(Well Being 幸福感)

ここ数十年の研究によると、パーソナルキャラクターとウエルビーイング(幸福感)には密接な関係があることが分かってきました。
神経質な性格は不幸感を生み出しますが、外向性、誠実性、開放性、協調性は少し幸福感をもたらすことが分かっています。
これは、パーソナルキャラクターが身の回りに起こる出来事に対する認識や経験のやり方に影響を与えているからで、幸福感に影響が出るのです。

外向性はポジティブな感情や出来事に対する感受性を高め、幸福感が刺激されます。
これは目標の実現を推進する計画能力(誠実さ)にも当てはまります。
また程度は低いもののこれは開放性にも当てはまります。好奇心は喜びと興味を倍増させます。
協調性は対人関係を促進し幸福感にプラスの影響を与えます。 逆に神経質な性格はネガティブな感情や出来事に集中するようになり幸福感が減少します。

心身の健康

別の研究ではパーソナルキャラクターは精神的健康に大きな影響を与えることが示されています。
神経質な性格は多くの精神病理学的障害の土壌になっています。 
強い神経症傾向を示す人はアルコールや薬物依存症、不安症、抑うつ障害を発症するリスクが高く、一方外向性は不安や抑うつ障害を軽減します。パーソナルキャラクターと身体的健康との関係は精神的健康との関係とほぼ同じです。

誠実性は身体的健康にプラスの効果をもたらし死亡率を減らしますが、神経質な人はその逆になります。
誠実な人は自分の心身の健康にとって良い環境、友人、仕事を求めるでしょうし、組織的かつ慎重な方法で目標を達成し健康を維持する行動をとります。 逆に衝動的で情緒不安定な人はリスクを取ってしまいます。

 

以上が雑誌「人間科学」に記載されて」いるパーソナルキャラクターについての記事要約です。
常識的な内容ですが、パーソナリティ特性は一生の間あまり変化が無く、特に職業的に必要とされるパーソナルキャラクターはほとんど変化しないとのことです。
従って、感情解析により採用面接時に対象者のパーソナルキャラクターがわかれば、営業向きか、内勤職向きか、研究職向きかなどの、職種の向き不向きはかなりの確率で分かると思われます。 

ALICeは音声からパーソナルキャラクターを判断しますので是非採用面接で使ってみてください。