はじめに
音声感情解析テクノロジーがコールセンターや保険業界、人事部門などで使われていると紹介してきましたが、いずれも人間対人間の場面での使われ方です。
しかし、最近AlexaやSiri、Googleアシスタントのような機械による仮想アシスタントの普及により、いよいよ機械が感情を持ち理解する時代が到来しました。
要するに感情解析のIoT(モノのインターネット)の時代です。
音声感情解析テクノロジーはこのトレンドに極めて重要な役割を担います。本コラムでは、これを用いてどのような応用例があるのかをご紹介致します。
音声感情解析の応用場面
極近い将来には、音声感情解析テクノロジーの応用場面は大きく拡大し、次のような場面で使われることになると思います。
会議
会議や交渉では、時として感情的になる場面があります。
スマートスピーカーや会議室システムは会議の声を常時モニターし、参加者のストレスレベルを測定します。
参加者がストレスを感じている場合、システムが休憩やスケジュール変更を提案したり、会議室の照明や温度を調整し、落ち着いた環境を作り出すようにします。
感情を理解するパーソナルアシスタントのデバイス
筆者の知り合いは毎朝Alexaに今日の天気を聞き、着ていく服装のアドバイスを求めるそうです。
現在、Alexaのような仮想アシスタントは言われたことを実行するだけですが、今後は話者の気分に応じて応答を調整するようになるでしょう。
話者のフラストレーションを検知した場合、仮想アシスタントデバイスは穏やかで共感的なトーンで話しかけ、ユーモアやカジュアルな言葉遣いを控え、イライラを避けるようにするでしょう。
また説明が必要な場合は、追加のコンテキストや安心感を提供するようになるでしょう。
興奮や喜びを検知した場合は、熱意を反映したトーンで応答し話題に応じてお祝いのコメントを追加するようになるでしょう。
これらによりユーザー(人間)と仮想アシスタントデバイス(機械)の間に深い結びつきが構築されるようになると思います。
高齢者のケア
先進的な自治体ではすでに検討や実証実験がされていますが、高齢者のいる家庭に設置されたスマートスピーカーやIoTハブが、感情的な健康を声によりモニタリングします。
これは声のパターンを長期的に追跡し、悲しみや不安、ストレスを時系列的に検出し、気になるパターンが続く場合、家族や介護者にアラートを送信します。
また、「今日はゆっくりしても大丈夫ですよ」とか「お孫さんに電話をしてみませんか?」といった慰めの言葉やリマインダーを機械から発声するようにします。
これにより一人暮らしの高齢者や弱者に感情的なサポートを提供することができます。
精神的な健康問題の早期警告システムとして機能することができます。
家電製品
家電にも音声感情解析テクノロジーが応用される時代になりました。
冷蔵庫、テレビ、コーヒーメーカーなどのスマート家電が、あなたの声のトーンに基づいて反応します。
たとえば冷蔵庫ですがストレスを検知すると、ヘルシーなスナックや快適なレシピを提案する、スマートテレビならリラックスできる映画や番組を提案します。
コーヒーメーカーが眠そうな声やイライラした声を検知すると、濃いコーヒーを淹れ、励ましの通知を送信するなど、日常の家電に感情的な知性を追加し、受動的で基本的なデバイスを能動的なパートナーに変えることができるようになります。
おわりに
スマートデバイスやIoTにおける感情解析は、日常生活を変革し、インタラクションをより直感的で共感的なものにする可能性を秘めています。
この技術が進化するにつれ、デバイスとの接点がさらに人間的で感情に寄り添うものとなり、私たちの生活を豊かにするでしょう。
今回のコラムは製品化できているものばかりではなく、可能性を述べた部分が多くありますが、現在の感情解析テクノロジーを用いればすべて実現可能です。
ご興味をお持ちの企業様は当社までお声がけ下さい。